藻岩地区にはおよそ20の子ども会がある。大学生の佐々木心寧さんはその中の一つ「若葉はやぶさ子ども会」の「修学生」というメンバーだ。
子ども会とは、町内会などの地域ごとで乳幼児(0歳)から高校生(18歳)までが集まり、お祭りやキャンプなどのイベントを通し地域の繋がりを深める活動団体のこと。子ども会の中には「ジュニアリーダー」がおり、 主に、企画・運営の役割を担っている。佐々木さんジュニアリーダーとして活躍し、その役目は終えたが、今はジュニアリーダーを養成する修了生という立場で今も活動を支えている。
人と関わることが好きな佐々木さんは、小学校低学年の頃から子ども会に入り藻岩地区のイベントに積極的に参加していた。一度転校したのち、中学校に入学するときに藻岩地区に戻ってきた。その時、友人に誘われたことがきっかけで再びジュニアリーダーとして活動を始めた。
しかし始めて間もなく、できないことばかりの活動に苦しんだという。佐々木さんは中学1年生からジュニアリーダーを始めたが、周りは小学4・5年生から経験していた人が多く、大きな遅れを感じた。それでも諦めず、追いつこうと様々な役割に挑戦し努力を重ねた佐々木さん。イベントに参加した子どもたちの素直な「楽しかった!」「私もジュニアリーダーをやりたい!」という言葉たちが励みとなっていた。
「行事の数ほどやりがいがある」と真剣な顔つきを見せた佐々木さん。高学年になるほど担う仕事は増え、責任感も強くなり、楽しいだけではない部分もたくさん見えてくる。子どもが100人集まったイベントや、全体リーダーを務めたイベントは忘れられない思い出となっている。佐々木さんの努力は形として現れ、令和3年度札幌市優良青少年及び青少年健全育成者表彰伝達式で、札幌市の青少年健全育成の推進に関し特に功績のあった青少年として表彰された。
佐々木さんは今、幼い頃からの夢であった看護師になるために大学で医療を学んでいる。子ども会の経験から、人と接する時に貰うパワーに気づいた。「患者と看護師」という仕事上の関係ではなく「人と人」という身近な存在として寄り添えたら良いと語ってくれた。
でも人との繋がりは今では当たり前ではなくなってしまった、と佐々木さんは危惧する。10年、20年前と比べても身近な人との関わりが少なくなっている今、「当たり前じゃなくなった繋がり」を子ども会で取り戻していきたい。そう願う眼差しには若い活力がみなぎっていた。
文・写真:安藤里(東海大学国際文化学部デザイン文化学科)