
2025年5月、川沿地区にOPENした器と喫茶のお店「Loska(ロスカ)」。
藻南公園から徒歩2分ほど、閑静な住宅街に佇む一軒家にLoskaはある。ここは北海道を拠点に活動している陶芸家・山田雅子さんのアトリエで、山田さんの甥っ子である三浦貴也さんが、「叔母の作品を手に取ったり、実際に使ってもらいたい」という思いからアトリエの一部に喫茶を開いた。
喫茶は既に冬期休業に入ったため、雪解けの季節(来年4月予定)まで訪ねることはできないが、冬期休業前の最終日に幸運にも伺うことができた。お店を教えてくれたもいわ塾生でファミリーホーム「翼の家」を運営する下家愛さんに感謝し、Loskaの魅力を紹介をしたい。
陶芸家・山田雅子さんの器を愉しむ喫茶
住宅の入り口から中へ入ると思わず感嘆の声が漏れる。開放的な店内、木の床や柱からは温かみが感じられ、奥には大きなガラス窓が2つある。自然光が差し込み、柔らかな空間が目の前に広がっていた。
ドアを入って右手には陶芸の色付けなどを行う作業場があり、正面のテーブルには陶芸家・山田雅子さんの作品が並んでいた。
川沿にatelier ma-do〈アトリエ・マ・ドゥ〉を構える陶芸家・山田雅子さんは、2001年に北海道立工業試験場陶芸科にて研修を受けた後、山田祥子さんに師事し、2006年に窯業した。北海道で採取された土が使用されている。全国各地の個展や企画展にも出展しており、北海道を舞台にした大泉洋さん主演の映画『しあわせのパン』、『ぶどうのなみだ』、『そらのレストラン』の3部作では器を提供している。
雅子さんの器はどれも暮らしの中に優しく溶け込みながらも、豊かな空間を作り出してくれる。そんな印象を抱いた。
食して伝わる器の魅力
陶芸の個展では、器を見て手に取ることはできても、購入しなければ実際に使用することはできない。料理をお皿に置いた時、コップに紅茶を注いだ時の雰囲気まで愉しめるのがLoskaの魅力だ。
席に着く前にオーダーをし、料理を席で待つシステム。この日は3人で利用したため、インドネシア産の深入りの珈琲、マルコポーロの紅茶、自家製チーズケーキ、スープセット、プリンなどを注文し、わくわくしながら席に着いた。
最初に運ばれてきた紅茶とチーズケーキ。机に置かれた瞬間も思わず「わぁ素敵」と声が漏れる。まず器に感動するのだ。細部にわたる丁寧な仕事、形、線、美しい器の数々が目を喜ばせてくれる。次に感動するのが、その美味しさだ。この日のチーズケーキは紅茶のチーズケーキ。スープセットのパンは小樽・張碓にある人気店「ヨルトノ」の天然酵母パン。
パン以外のスープや総菜、スイーツ、クッキーを作るのは、山田雅子さんの姉で、店主の三浦貴也さんのお母様だ。料理からも丁寧さを感じられ、幸せな気持ちになる。
若き店主 東京から札幌へ戻り開業
「喫茶をやりたかったというよりは、日常の中で叔母の器を身近に感じてもらいたくて、喫茶という形になりました」。そう話すのは店主の三浦貴也さん。31歳。東京でリノベーション関係の仕事をしていたが、昨年、一念発起し札幌に戻り、喫茶の開業やものづくりに関わる仕事を始めた。店内には、叔母である雅子さんの器だけではなく、上質なコットンやシルクなどの天然素材使用する「Yoli」の洋服や「Edie Sedgwickrm」のリネンアイテムも並ぶ。どちらのブランドも北海道で常設販売しているのはLoskaのみだそうだ。
陶芸の隣りに、木製のお皿も置かれていた。裏を見るとウォルナット(くるみ)と書かれている。心地よい肌触り。お皿は東神楽町で活動する20代の木工作家・今野翼さんの作品だそうだ。「若いのに技術が本当にすごいんです。ぜひ一枚一枚の手仕事、その滑らかさや木のぬくもりを感じてほしい」と三浦さん。販売するものは主に三浦さんがセレクトしている。
Loskaには雅子さんのファンも来店するが、雅子さんの作品に初めて触れる方も訪れる。「叔母の作品を知る人も知らない人も喫茶を通して作品を身近に感じてもらえたら嬉しい」と三浦さんは目を細める。
もの、ひと、サービス、この空間には豊かな時間が流れている。
Loska 雪解けの季節に会いましょう
最後に店名のLoskaの意味を聞いた。Loskaとは、フィンランド語で「雪解け」を意味する言葉だそうだ。雪解けの季節に始まり、冬は長いお休みに入り寂しいけれど、来年もまた雪解けの季節になれば、Loskaで会える。営業開始は来年4月を予定しているそうだが、タイミングは公式Instagramでお知らせするとのこと。
雪解けの季節が今から待ち遠しい。考えを変えれば、雪解けの楽しみが一つ出来て、筆者は嬉しくてたまらないのだ。
・Loska 器と喫茶 Instagram
※12/14〜冬季休業(営業再開は4月予定)
close 日月火
11:00〜17:00 (喫茶LO.16:30)
北海道札幌市南区川沿12条1丁目3-67
写真・文 御手洗志帆

