川沿公園
川沿公園再訪(2024年7月)
川沿公園は大規模開発時に多くの公園と共に昭和52年、設置された。全長400m、面積約31617㎡の近隣公園(※1)。土手の向こうに豊平川が流れる。豊平川と土手の間は豊平川緑地が藻南橋から石山大橋まで続く。
(※1近隣公園:主として近隣に住居する者の利用に供することを目的とする公園で、面積2haを標準とするもの)
▲川沿公園から豊平川緑地側の眺め。「25年間ロスアンゼルスで過ごした人が、この景色を見て川沿に転入してきた」と藻岩地区町内会連合会の村上会長が説明してくれた。サッカーゴールの向こう側には豊平川が流れる。豊平川と手前の土手の間が豊平川緑地で、藻南橋から石山大橋まで続く。
晴生会札幌病院の裏手はピクニック広場。病院側の並木道は春、桜が咲き誇る。
ピクニック広場の南側にはバスケットゴールが二台。高さの違うゴールが設置されている。その隣には小さな子供が安心して遊べる幼児広場がある。
ピクニック広場にはトイレ、水飲み場、ベンチがあり、そこから舗装された道が土で踏み固められたぐるぐる道に繋がる。道の入り口に沿って夏頃は紫陽花が両脇を彩る。この先は巨木が林立し、真夏の暑さも木陰で涼しい。道の途中に東屋やベンチが点在する。秋は沢山のどんぐりが落ちており、食べに来るりすに会うこともしばしば。樹木の間を縫って子供や犬の散歩をする人たちが歩く。ぐるぐる道を進むと、アスレチックのような遊具が公園の奥に向かって順番に一つずつ続く。最後の遊具の辺りが公園北側入り口だ。水飲み場、トイレやベンチがある。
▲ 幼児広場。小さい子供が歩きやすそうな段差のない舗装された道や砂場、スプリング遊具がある。
ビッグハウスと隣接した芝生広場には小高いスキー山と、小山を見晴らすように時計がある。ビッグハウスでママが買い物をしている間、パパが子供や犬と遊べるワンオペにも一役買う。四季を通して楽しめる公園だ。
藻岩地区町内会連合の鈴木光典部長に村上剛会長をご紹介いただき、お話を伺った。
村上会長は「川沿公園はうちの庭」というほど、川沿公園に寄り添って生活している。40年前に転入した当初は、きつつきのドラミングやかっこうの声、うぐいすの鳴き声もよく聞こえていたそう。5年ほど前よりだんだん減っていき、今は春先にうぐいすの声が時々聞こえるだけになったという。
リスやシカ、キツネも頻繁に来るそうだ。公園内のぐるぐる道にあるベンチに取材のため集合し、椅子に座ろうとしたとき、子リスが身軽に木を登って行ったのを見て納得する。樹木が豊かな秋の公園にはドングリが沢山落ちている。昨年の秋はシカの家族13頭が、人を警戒しながら充分ドングリを食べ終えた後、家族そろって河川敷を藻南公園の方へ疾走して行ったそう。夏は足元の土が穴だらけになる。セミの幼虫が出てきた穴だ。「朝早く来ると、もうセミが木にとまって鳴いてますよね」と、村上会長。
▲木立の中ではリスに出合うことも多い。
▲スーパートレイン:スタートは取っ手を利用して登るところから。ちょっとしたトンネルをくぐる様な感覚も味わえる。(写真:林里美)
▲ローラースライダー:1mほどの高さの滑り台。登り口は階段ではなく、ネット。
▲ネットトンネル:小さな子供はしゃがんではいはいのように前進できる。勢いで登れるが降りるのが大変!
▲プレイウォール:写真右/裏からもハシゴやネットで登れる。子供に1番人気。
▲冬休みは新雪を滑り固めながら、そりやスキーを滑る子供とその親たちが譲り合いながら遊んでいる。混みあっているときは豊平川緑地に向かって土手を滑る子供たちもいる。
▲藻岩地区町内会連合会の村上会長(左)と鈴木部長(右)
自然が豊かなため、定期的な草刈りも欠かせない。夏休み前など子供たちが遊びに来る時期に合わせて行う。悩みは秋の落ち葉。木が多いだけに、大量の落ち葉が風で公園の外まで飛んでいく。オレンジ色のネットで3か所、5~10㎡ほどの囲いを作り、落ち葉を山にして盛り集める。自由に持っていってもよいので、自宅に持ち帰り肥料を作る人もいるそうだ。
昨年は町内に13世帯の転入があった。藻岩地区の中でも川沿町内会は若者の転入が多いそうだ。空き家の広い土地を2~3分割して新築することで、若い世代にも手が届きやすくなったのではないかとのこと。戸建てのみならずアパートへの入居もあるという。
町内会の毎年恒例の催し、七夕は、川原から大きめの柳を取ってきて木陰に立て、集まった子供たちが公園のベンチで短冊を書き、めいめい柳に結び付ける。浴衣を着てくる子もいる。お弁当を用意し皆で食べ、写真を撮る。町内の方々の協力を得て「だせだせ ローソクだーせ」と歌いながら子供がお家を回り、お菓子をもらうこともあった。公園の外の砂利道に出て花火を打ち上げる。子供は勿論のこと、お話しくださる村上会長や鈴木部長も楽しそうだ。忙しい子育て世代にとって、地域で子供を見てくれる大人がいるという安心感も川沿地区が人気の理由の一つなのかもしれない。
ベンチから立ち上がり、公園を歩いて案内していただく。市で公園を管理する職員も合流し、公園についてお話を伺う。維持管理として1~2週間に1度ほど各公園の清掃・巡回等を行い、危険な箇所がないか等のチェックもするそうだ。
遊具の名称や選定方法など、職員に伺いながら歩く。遊具は公園改修のタイミングでワークショップを開催し、町内の人と相談して決める。「公園は子供の年齢だけではなく、時代と共に変わっていく」という、職員の言葉が心に残る。
取材中、子供連れの保育士さんのお話が聞けた。「子供たちを連れてよく遊びに来ています。広くて、近くに車道もないので、子供たちが思いっ切り走り回っても安心です。木陰になっているので涼しく気持がいいですね。遊具が少し大きな子向けで難易度がありますが、その分、体をいっぱい動かして遊ばせることができます。」。2歳の男の子のママは「木陰の公園で夏の暑さを避けられるのが嬉しいです。遊具も種類が豊富なので、子供としょっちゅう遊びに来ています。」とのこと。
取材の日は好天で気温が25℃くらい。日差しの下では太陽が照り付けて体温が徐々に上がるのを感じるが、ぐるぐる道に入ると木漏れ日の中、涼しく歩ける。水飲み場もあるので、熱中症対策にもなるだろう。川沿公園のすぐ隣は豊平川緑地の野球場だ。土日や休日は、家族連れの野球少年たちが集まる。少年たちは試合の合間、崖を登って川沿公園の水飲み場やトイレに集まる。頭から水をかぶっている子もいるそうだ。村上会長は1シーズンに10個ほど野球ボールを拾う。平日も日中は児童デイサービスの子供と先生たちが利用し、放課後は学校から帰った子供たちが遊びにくる。朝夕は犬の散歩やウォーキングの人達が豊平川緑地と川沿公園を歩く。1日中人が絶えない公園だと村上会長は笑顔で語る。
文・写真:林里美(もいわ塾3期生)、写真・御手洗志帆(もいわ塾アシスタント) 2024年7月
川沿公園(2022年9月記)
芝生の小さな山もあり、日向ぼっこをしたら気持ちが良さそうだ。
川沿公園にはピンクの紫陽花が所々見られた。9月になった今でもドライフラワーとして、綺麗に咲いている。
トイレは公園中央付近と遊具側に2箇所ある。和式のみで、ティッシュを持っていった方がいいだろう。
川沿公園を降りたら野球やテニスの試合が出来るスペースが広がっている。
(文・写真:藻岩高校/佐孝琉菜、横野湖笑《もいわ塾1期生》)
2022.9.12