藻岩高校には「ミライdesign」という総合的な探究の時間がある。以前、もいわ暮らしでも取材したMSPの先、「持続可能な社会と、それを担う自己の未来を描き行動する」をテーマに人生の先輩である社会人の講話を聞いたり、未来の生き方を想像・創造し、将来やりたい仕事、なりたい自分・生き方を探究していく時間だ。
2026年1月23日の午後、体育館に生徒が集まり、「ミライdesign」一環の大きなイベントが開かれた。その名も「インタビュー人生ゲーム」。社会人、卒業生、先生など人生における先輩たちが藻岩高校を訪れ、生徒たちとグループを組み、サイコロを振って出たマス目の箇所にある質問に答えながら対話をしていく画期的な内容だ。
先輩の経験談は生徒たちの財産になる「インタビュー人生ゲーム」

この「インタビュー人生ゲーム」を作成したのは、2024年から藻岩高校の探究学習でコーディネーターを務める株式会社コエルワの皆さん。人生ゲームの質問内容は、藻岩高校の教員と相談をしながら決めていった選りすぐりの質問群だ。
例えば、「就活前にしておいた方がいいことを教えてください」「これまでの人生の失敗談があれば教えてください」「大切な人との出会いについて教えてください」など、ゲームを進めながら、相手の考えや経験を知れる上に、自分の考えを言語化していくのにも最適だ。ただ楽しいだけではなく、学びの要素もしっかりと組み込まれている。
聴く楽しさ、語る楽しさ
生徒3~4人のグループに1人、社会人・藻岩高校3年あるいは卒業生・教員のいずれかが加わり、人生ゲームのチームが作られる。チームは円になり、体育館の床に膝をつけあわせながら対話を始める。社会人の先輩や先生と、このような距離感で会話ができる機会はそうはないだろう。さらに、参加している社会人の先輩たちは、企業の代表や教育業界、マスコミ業界、製造・販売業などで働く方たち。いざ「インタビュー人生ゲーム」が始まると、あちらこちらで興味深い話が聞こえてきた。
大学生の先輩の話は、身近に感じやすく、より具体的なアイディアももらえる。

「先生はなぜ教師になったのだろう?」「奥さんはどんな人?」普段の授業では聞けないようなプライベートなことなども遠慮なく聞ける楽しさ。アットホームな場が広がっていた。
人生において「仕事・働く以外の要素」は非常に大きい
なぜ人生ゲームの形にしたのか、株式会社コエルワの阿曽沼代表はこう話す。
『世の中の「キャリア教育/大人の話を聞く」というプログラムの大半は「仕事」の話に偏っているという感覚があったんです。しかし、人生とは仕事、働く以外の要素が非常に大きいはずで、さらにこれからの時代は「余暇や無駄」をどう楽しむかということが大事なテーマだと考えていたんです。だからこそ、仕事以外の人生のイベントについても知れるような時間にしたくて、このような形にしました。』
藻岩高校の探求活動を先導する千葉建二先生も「インタビュー人生ゲーム」の重要性を説く。
『阿曽沼さんと何度も打ち合わせを重ねて「インタビュー人生ゲーム」が誕生しました。ただ話を聞くだけではなく、相互の対話を作りたい、さらにコミュニケーションが苦手な生徒でもできるような仕掛けにしたいと話し合いました。結果的に人生ゲームのようなボード形式になり、生徒たちにとって濃厚な探究活動になっていて嬉しいです。』
「インタビュー人生ゲーム」の後に集まった生徒の声をいくつか教えてもらった。
・今の自分では今後の人生について全くビジョンが見えなかったが今日を通して、少し見えた気がしました。
・先生とは普段と違った雰囲気で、知らなかった話をたくさん聞くことができ、すごく楽しかったです。
・社会人の方は、炭窯を買った話がすごく印象的で、日常生活では絶対に知らないような世界の話をしてくださったので、もっともっといろんな人の話を聞きたかったなと思います。
・大人って意外と楽しそうだなと思った
・社会人の方とこのように人生や自分のことについて話すことがほぼ初めてだったと思うのでとてもいい機会になりました。
・言葉にすることで自分の将来をより具体的に想像して広げることができ、とても貴重な経験をすることができました。
合わせて55人の社会人、高校3年生・卒業生、先生らが集まった今回のイベント。高校生たちがdesignしていくミライにきっとこの時、この瞬間の記憶や体験が役立つ時がくるだろう。
取材:御手洗志帆



