人と繋がり、支え合う

ボランティア推進部長 川股陽子さん(中ノ沢町内会)

 長い間ボランティアを努め、活動を通して人々を支えてきた。

 その人の名は川股陽子さん。

 

 川股さんは、「地区社協」と呼ばれる「藻岩地区社会福祉協議会」でのボランティア推進部長だ。この組織は今から20年ほど前、札幌市の保健センターで行われていた、スポーツリーダーやボランティアを養成する講習会を受けていた方々が集められたことから活動が始まった。

 

 活動内容としては、もいわ地区センターで毎週月曜日に行われている「ふれあいサロン」。「藻岩健康づくり推進会」と呼ばれるウォーキングや藻岩山登山の活動。また血圧を測ったり、体内年齢を見てもらったり、健康に関する相談を受けたり、講演会など様々だ。

 

 「ふれあいサロン」は藻岩地区センターで開かれ、第1から第4サロンと分かれており、サロンの内容はそれぞれ異なる。

 川股さんの担当は第4サロンで、このサロンでは歌を歌い、身近に身体を動かすことをしているという。参加している方々は顔をお互い認知し、自然と友達になる。するとサロン以外の場でも、地域で互いに協力し合うことが増える。それが川股さんにとって微笑ましく、この活動をしていて良かったと感じるのだという。


 そう感じるのは他の活動でも同じで、藻岩登山では以前参加された方からの、「何十年も藻岩山を見ていただけだった自分が、今回をきっかけに登れることができて本当によかった」という声や、「山を登り切った80代の母の嬉しそうな姿に、息子である自分も見ていて嬉しくなった」という声を聞き、何かに挑戦し、自己満足だけでなく、周りの皆も褒めて喜びを分かち合うことは、本人の自信にも繋がると感じたのだという。

 

 そして川股さんは40年ほどウォーキングを続けており、毎週真駒内公園に行くのだという。そこで極力会った方には挨拶をするようにしている。長年ボランティアをやっていて、人に声掛けするのが自然に出来るのだという。

 「たとえ挨拶が返ってこなくてもいい。返ってこなくても、ただ挨拶を言いたいからいっている、くらいの気持ちで良い。若い人も、見知らぬ人に親切にしようとしたとき、この人に拒否されるとまず思わないでほしい。自分の意志が相手に伝わることが大事だから」と仰っていた言葉が深く胸に刺さる。

 

 川股さんの一番初めのボランティアは18歳か19歳の頃だそうだ。その時はボランティアという言葉も普及しておらず、自覚が全くなかった。しかし当時から困っている人を助けたい。大丈夫だよと言ってあげたい気持ちが振り返るとあったのかもしれない、と語ってくれた。誰かのために、自分の持っている力を惜しみなく出してあげることは勇気のいることである。だからこそ、その思いを普段から大事したいのだという。

 

 

<文責 東海大学国際文化学部デザイン文化学科・中田里奈>