GELATERIA SAKURA 幸せの循環 自然と牛とひと


 頑張った自分へのご褒美に、甘いもので「ほっと」一息つきたい時もある。暑い日はもちろん、北海道は冬でも半袖を着て家の中でアイスを食べる。そんな皆に愛されるジェラートを食べさせてくれるお店を訪ねた。

 

 訪れたのは、イオン札幌藻岩店からばんけいスキー場へ向かう、道道 82 号線沿いにある「GELATERIA SAKURA」だ。2 年前に、cafe だったお店を改築し、OPEN した。牛の看板が目印の黒を基調にしたモダンな外観である。駐車場はお店の目の前と、道路を挟んだ向かい側の第2駐車場と、2 か所ある。

 入り口手前には本日のおすすめジェラートのプレートがかかっており、並んでいる時も飽きさせないように工夫されている。店内に入ると、グリーンの人工芝の上に中型犬くらいのホルスタインの牛のぬいぐるみ 3 頭が迎えてくれる。
 隅々まで観察すると至る所に牛のデザインが散りばめられていて、発見すると小さなこだわりが嬉しくなる。そして自動販売機の発券機があり、シングル、ダブル、トリプルを選び、店で作っている手焼きコーンかカップを選択できる。
 いよいよ主役を選ぶのだが、12 種類のフレーバーが壁の電光掲示板に味の特徴と画像がのっており、「私を選んで」とアピールしてくる。こんなにあると迷ってしまい、思わず何がおすすめか聞いてしまう。アマレーナクリームチーズ、カカオソルベ、ゴマ、ピスタチオが定番で人気だそうだ。そう聞いても、やはり迷ってしまうので平均 2~3 分はかかるという。

こちらのお店は、美容室チェーン「さくらヘアー」のオーナーでもある(株)SAKURA STYLE 代表取締役の今里英司さんが手がけたお店だ。

 なぜ美容室のオーナーがジェラート屋さんを?今里さんに話を聞いた。今里さんは奥様も美容師だ。

 美容師は定年が無くずっと手に職があるように思うが、年齢を重ねるに連れて少し手の震えがきたり、視力が落ちてきて繊細な作業に支障が出る事もあるという。

 

 人生 100 年時代の今、若すぎる早期退社を何とかできないかと考えたのが、ジェラートだった。美容で培った接客のスキルを持って、違う環境で働く事ができる場を提供していく。従業員が、第2の人生を始められるように、転職先として作ったのだ。頑張ってくれた従業員に、また幸せに働いてほしい、そうゆう思いもあった。
 そして食べた人が最高の笑顔になるよう最高のジェラートを作りたい。今里さんの思いが材料や、ジェラート、ソフトクリーム製造マシーンに込められている。ジェラートを作る材料の牛乳はグラスフェッド乳牛のみを使用。作る機械はイタリアの大手メーカーCarpigiani(カルピジャーニ)社のもので、「ソフトクリーム界のフェラーリ」と呼ばれている機械である。


 開店当初からジェラート店で働いている木原亜美店長にも話を聞いた。

 店長の仕事は多岐にわたるが、その中には新商品の開発もある。季節やお客様のニーズにあわせて試行錯誤する中から今年選ばれたのが、バスクチーズケーキソフトだ。店内で パティシエが焼いた濃厚バスクチーズケーキを そのままソフトクリームにのせてある、見た目も大胆な新商品。

 ソフトクリームの材料になっているのは、天塩町宇野牧場のブランド牛乳「最高峰の牛乳」だ。 濃厚だけどさっぱりとしたソフトクリーム 。定評あるソフトクリームマシーン「カルピジャーニ」を 使用して生クリームのようなふわふわソフトに仕上がっている。そこに合わさったバスクチーズケーキとの相性は抜群だ。嚙まずにトロッと喉を流れていく。筆者はランチのすぐ後で、 「こんな量を食べられる?」と思ったが、舌触りの滑らかさに驚きながら、食べ終わるのに 10 分かからなかった。小麦アレルギーや

病気のリスクを高める小麦粉を使わないグルテンフリーのバスクチーズケーキは、ケーキ単品で持ち帰る事ができるのも嬉しい。

 木原店長は「自由に意見を言わせてもらって働くのが楽しい」と笑顔で話す。そして、「牛乳の容器から出る匂いが臭くないんです!」と語気を強める。宇野牧場の「最高峰の牛乳」を飲んでみたが、牛乳が苦手な人でも、きっと美味しくてびっくりするかもしれない。ほんのり生クリームのような深い味わいだが、水のようにサラリとしていて後味がスッキリしている。宇野牧場の牛乳は北海道でも有名だが、この牛乳でジェラートを作っているのは「GELATERIA SAKURA」だけだという。

 今里さんや木原さんから聞く宇野牧場の牛は広大な土地で自由に放牧されているらしい。牛が食べる草の“土”に農薬を使っていない。また、穀物を与えず牧草だけで育つ「グラスフェッドミルク」で、有機 JAS 認証を取得しているオーガニックである。牛にはホルモン剤も一切使用しない、日本国内では数少ない牧場なのだ。本当においしいジェラートは、しあわせな牛からつくられている。

 そのジェラートを作る人も幸せで、渡されたジェラートを一口食べると、 「ほっと」顔が緩るむ。その笑顔を見る人もまた、幸せな気持ちになるかもしれない。幸せがリレーする、ご褒美ジェラートをぜひ味わってほしい。

 

(文・写真:今野純子 もいわ塾1期生)

GELATERIA SAKURA
〒005-0801 北海道札幌市南区川沿 1 条 6 丁目 1-62

店舗前に駐車場 6 台

道路挟んで向かいに第二駐車場 5 台(10 月まで)

OPEN:11:00~19:00

CLOSE:夏季は定休日なし 冬季間(11 月から 2 月)は火曜日定休

TEL:090-2877-1787