第20回 藻岩地区アイスキャンドルが開催されました(2025/1/25-26)
厳寒の札幌を彩るアイスキャンドル。藻岩地区のいろいろな場所で毎年開かれるこの冬の風物詩では、住民たちの手作りのアイスキャンドルが幻想的な光景を織りなし、世代を超えた交流が生まれています。マンション単位の小規模な取り組みから、広い公園を舞台にした催しまで、それぞれの地域性を活かした創意工夫が光り輝きます。人々の想いが紡ぎ出す、温もりの灯をお届けします。
川沿第三町内会の【アイスキャンドルフェイスティバル】
2025/1/25 取材 林 里美
藻岩地区町内会連合会主催の「アイスキャンドル」は開催20回目を迎えた。町内会のエリアごとにアイスキャンドルを飾り、個性溢れる見所が点在する。このイベントの始まりは数十年前に遡る。川沿第三町内会をはじめとする5町内会で協力し、川沿3丁目と4丁目の間の通学路にアイスキャンドルを並べた。その距離、川沿3条から10条までの約2キロメートル。沿道両脇に飾ったので計4キロメートルがアイスキャンドルで埋め尽くされた。各町内会は毎年300~400個の氷を作った。1500個を超えるキャンドルの道とその先にある藻岩山。当時の風景が思い浮かぶ。残念ながら除雪の妨げになるとのことで各町内会でのアイスキャンドル開催となり、今に至る。
1月25日、もうすぐ18時。すでに入り口のキャンドル数個が点灯されている。普段と違うどんぐり公園の看板にワクワクしながら家族連れが次々と会場に入る。町内会長の小村裕さんが「受付でキャンドルをもらって点灯してください!」と皆に届くよう声を張る。まだ暗い会場の中で、眩しく光るイルミネーションの元に皆まっすぐ進む。準備万端で待つ受付の若い女性二人からビニール袋に入ったキャンドルとチャッカマンををもらう。すぐにあちこちで灯りがともり始める。小さな子供がキャンドルを氷の中に置き、灯をともすお父さん。チャッカマンの使い方を教わりながら自分でキャンドルに点灯する子供。階段状にキャンドルが並ぶ【アイスキャンドルフェイスティバル】のボード周辺を、わいわいと賑やかに照らしていく友達5~6人で来た中学男子。5分後、自由広場をぐるりと囲んだ180個のキャンドルがオレンジ色の炎を氷越しに揺らめかせた。
豚汁と甘酒を手にキャンドルの灯りを楽しんでいると、藻南商店街のマスコット、もなみんが現れた。紫色の丸みをおびた三角形の着ぐるみ、大きな目と笑った口元が親しみを感じるご当地キャラだ。「きゃー!!」とあちこちから歓声が上がり、あっという間にもなみんの周囲に人が集まる。カメラを構える人、もなみんに触る子供。後ろから中学生くらいの男の子の声がする。「あれ何?」、友人が「ブルーベリーだよ」。正解をホームページで調べるとラベンダーが大好きな妖精だった。もなみんは、手を振ってあっという間に去って行った。次の会場へ向かったようだ。
それと同時に手持ち花火とお菓子の配布が始まる。親子連れが受付に長い列を作る。いつの間にか花火点火用のロウソクが所どころに用意されている。友達と花火二つを寄せて写メをする小学校の女の子。皆自分の花火に夢中になっている。ふいに【アイスキャンドル フェイスティバル】のボードのそばでゴーッと火花をまき散らして吹き上がるドラゴン花火。火ぶたを切ったようにあちこちでドラゴンが火焰を上げる。驚きの喚声が会場に広がる。キャンドル点灯からの30分、息をつく間もなく時が過ぎる。
キャンドルづくりの名手・波多野さん
川沿第三町内会のキャンドルは手作りだ。数十年間、このイベントのためにキャンドル作成を続けている波多野靖夫さんにお話を伺った。今年は一人で800個ものキャンドルを制作した。
波多野さんのキャンドル作りのきっかけは、キャンドルホルダーに使用した釘でタイヤを傷つけたこと。釘を使わないキャンドルを目指して試行錯誤を繰り返し、今のキャンドルにたどり着いた。連合会から支給される3号のロウソク(直径1センチ、長さ15センチくらい)を溶かして制作する。ロウソク4ケースで25個のキャンドルが出来上がる計算だ。
キャンドル制作のスタートは氷作りよりも早い。12月半ばから取り掛かる。その工程を教えてくれた。
まず紙コップを3センチの高さにカットし、その中に溶かしたロウソクを30グラム量って流し込む。固まるのを待つ間、溶かしたロウソクの芯を3センチ5ミリにカットする。流し込んだロウが完全に固まる前に、カットした芯を差し込んでいく。ロウが固まりすぎても、柔らかすぎても芯はまっすぐ立ち上がらない。それだけに一度ロウソクを溶かすと目が離せない。ロウにキリで穴をあけて芯を入れたこともあるが、ロウと芯がなじまなかった。だから一度に作るのは25個と決まっている。それ以上だと作業が追い付かないそうだ。最後にカップからキャンドルを取り出して完成する。
この工程は2時間以上かかる。これを20回繰り返してキャンドル500個が出来上がる。細かなサイズ設定、燃焼時間の計算。ここまで辿り着くのにどれだけの苦労があったのだろう。
波多野さんのキャンドルは3センチと丈が低いため、風よけがいらない。氷の中にポンと置くだけだ。キャンドル点灯時、子供たち自らが氷の中にキャンドルを置くことができるようになった。風よけがないので、キャンドルの灯が直接氷に投影される。また上からアイスキャンドルをのぞき込んでも美しい。
第三町内会の戸数は750戸ほど。川沿地区では3~4番目の戸数を抱える。600平方メートルほどある会場は来場者で埋まっている。まさに町内の冬祭りだ。老若男女が集まり、まるで盆踊りのような雰囲気。「町内のみんなに来てもらい、キャンドル点灯や花火など自ら参加してもらうのが第三町内会のやり方なの。だから川沿第三町内会は【アイスキャンドル フェイスティバル】なんだよ」と運営する方々が思いを語る。
大きな鍋3つ分の豚汁と甘酒もすべて空になった。町内会女性役員と老人クラブせせらぎ会有志で手作りした豚汁と甘酒は200食分。40分ほどでの完食だ。皆も落ち着いてキャンドルに見入り、談笑し、カメラを構える。町内会長の小村さんが、開宴してからずっと会場を見渡せる受付周辺に立っていた。いつ見かけても小村さんは微笑んでいた。小村さんの「寒い中、数百のアイスキャンドルを作る苦労は、キャンドルフェスティバルを楽しむ人たちを見ていると吹き飛んでしまう」という言葉を思い出した。
文・写真:林 里美(もいわ塾3期生)
川沿第4町内会(川沿さふらん公園)会場設営~キャンドル点灯
2025/1/25 取材 林 里美
川沿第4町内会のアイスキャンドル会場は川沿さふらん公園(川沿7条3丁目)。催し当日の1月25日、夜からの点灯を控えた午後2時、町内会長の平井美昭さんにお話を伺うため、現地に出向いた。
会場に着くと、アイスキャンドルはすでにセットされていた。氷の中には色とりどりにカラーリングをしたペットボトルが置かれ、白い公園を彩る。各家庭で作った氷を公園に運び、なかには50個も制作した人もいるという。今年は全部で110個ほど。昨年の160個からは減ったものの、多い年には公園の縁石をぐるりとキャンドルの灯で囲んだこともあったそうだ。
会場の中心には、ウェディングケーキを思わせる雪のひな段がある。木の根元をぐるりと包むように3段の雪のひな壇が作られ、各段にはカラフルなアイスキャンドルが並ぶ。てっぺんには氷から花が浮き出たアイスキャンドルが飾られている。この花入りの氷作りには手間がかかる。通常のアイスキャンドル同様バケツで氷を作り、一度取り出した後、再度バケツに水と氷と造花を入れて完成させる。今年は冷え込みが弱く、うまくできたものは少なかった。
会場奥の櫓(やぐら)の両脇には、アイスキャンドルの帽子をかぶった1メートルほどの雪だるまが2体、入り口を護る。櫓の中には雪のベンチが設えられ、その上にはハワイアン柄の小さなポリエチレンのバスマットが一人分ずつ丁寧に並べられている。中央の机にはコンロを持ち込み、2日間にわたって温かいお汁粉と甘酒、ココアを用意する。子供向けのお菓子も並ぶ。今年は暖かかったが、寒さの厳しい冬にはブルーシートを張って風をよける工夫もする。櫓の中でキャンドルの灯に囲まれ、ぬくぬくとおしゃべりしながら楽しめるようにとの心遣いだ。
第4町内会では1月から各家庭でアイスキャンドルの氷を作成し、当日さふらん公園に集まって会場を飾り、棚を雪で作る。関わる町内会の人々は20名ほど。毎年回覧板で有志を募るが、年々参加者は減っているという。
14時15分頃、会場のセッティングもほぼ完了し、人々が点灯の準備のために一時帰宅し始めた頃、ある光景が目に留まった。若者二人が直径1メートル30センチほどの大きな雪玉を運ぶのに苦戦している。実家に帰省した大学生とその友人だという。2人とも20歳で、友人は初めて雪を見る。目を輝かせて雪だるまを作り始め、すでに3体目。夢中になっているうちに巨大な雪玉になってしまい、2人がかりで押しても動かない。
諦めかけた時、アイスキャンドルを50個制作した男性が倉庫からブルーシートを持ってきた。5人がかりでシートの上に雪玉を載せ、端を丸めて引っ張ると、ようやく動き出す。櫓の左側を守る門番雪だるまの隣に運び、近くにいたお母さんが「頭のせるんだよ!もう一つの雪玉、持ち上げられる?」と声をかけながら、胴体の雪玉を丸く整える。
こうして櫓に守衛たちの「頭領」が鎮座することとなった。点灯時には両目を光らせ、両手にキャンドルの松明、頭上に輝くキャンドルの兜を戴くことになる。そばでずっと見守っていた平井さんが、ぽつりと「若い人は柔軟だ。いろんな人がアイスキャンドルに関わった方がいいんだよね」と呟いた。
17時少し前、紙袋や段ボールを抱えた女性たちが次々と集まってきた。中からランタンやコンロ、お鍋が取り出され、手際よくおもてなしの準備が始まる。幼稚園から小学生くらいの子供たちを連れた家族がキャンドル点灯を目当てに続々と訪れ、おしゃれに着飾った愛犬と散歩がてらの夫婦、一眼レフを手にした写真愛好家の姿も見られるようになった。
平井さんのキャンドル点灯の挨拶に続いて、子供たちにチャッカマンや点灯用キャンドルが配られる。家族ごとに散らばり、父母に手伝ってもらいながら点灯を始めると、一気に周囲が明るくなり、子供たちは点灯されていないキャンドルを探して駆け回った。あちこちでシャッターを切る音が響く。会場脇の道路の向こうにはコンビニがある。その光に背を向けると、ひな壇を中心に淡いキャンドルの灯に囲まれた空間が幻想的に浮かび上がった。
点灯がひと段落すると、櫓の前には3メートルほどの列ができていた。門番雪だるまたちの間を通り抜け、とろけるお餅の入ったお汁粉と甘酒、ココアをおしゃべりしながら楽しむ。普段はご挨拶程度のご近所さんも、会場の温かな雰囲気に促され、自然と会話が弾んでいく。
準備の時から雪だるま作りをずっと見ていた女の子が、母親と共に姿を見せた。昼間見たあの素朴な雪だるまが、今は明るく輝いて着飾った姿に変わっていることに、きっと目を輝かせたことだろう。
文・写真:林 里美(もいわ塾3期生)
【アイビーハイム藻岩地区】
2025/1/25 取材 杉山梨恵
20回目を迎えた藻岩地区の冬の風物詩、アイスキャンドル。今年も地域住民の熱い思いと創意工夫が、寒い冬の夜を温かく彩った。
イベント当日、1月25日(土)の朝10時。外の風はひんやりとしているものの、道路のコンクリートは乾いており、歩道には溶けかかった雪が薄く残る程度。外気温は2度だった。実行委員たちが、手作りのランタンを木にぶら下げて飾り付けを行っていた。これらのランタンは、ペットボトルにビニールテープとシールで装飾されており、毎年大切に保管されている。中には10年以上使用しているものもあるという。
メインとなるアイスキャンドルや、会場を明るく彩るミニ雪だるまは、まだ倉庫の中だ。例年なら朝から外に並べ始めているが、今年は異例の暖かさで、17時の点灯式ぎりぎりまで倉庫での待機を余儀なくされている。袋に入ったアイスキャンドルは既に溶け始め、袋がぺったりと張り付いていた。
日が傾き始めた午後3時、再び作業が開始された。465個のアイスキャンドルを、一つ一つ丁寧に手に持ち、倉庫から運び出す。今年は気温が高く、なかなか凍らないため壁が薄く、ひび割れも多かった。何度も往復して運び出されたアイスキャンドルは、表に一列に美しく並べられ、その光景は圧巻だ。実行委員たちは声を掛け合いながら、一つ一つ入念にチェックし、高さや傾き、見栄えを細やかに修正していく。その姿からは、並々ならぬ努力が感じられた。
アイスキャンドルには火屋(ほや)が設置され、灯りがともるのを待っているかのようだ。女性陣が制作したミニ雪だるまも、首に巻かれたリボンや赤い耳、花型にくり抜かれたにんじんの目など、愛らしい装飾が施され、会場の雰囲気を一層盛り上げていた。
17時、急ピッチで進められた作業が完了。暗くなり始めた氷の青白さが、一気にオレンジの温かな灯りに包まれる。鈴木さんの掛け声のもと、町内会長の三原さんをはじめとする住民たちにより、ろうそくの火が次々とアイスキャンドルに灯される点灯式が執り行われた。
辺りは完全に暗くなり、気温も一気に下がって、吐く息も白くなった。会場の中心からはもっと白い湯気が立ち上る。ココア・お汁粉・甘酒が振る舞われており、来場者たちは冷えた手を温めるように、両手で紙コップを優しく包み、好みの飲み物をゆっくりと味わっていた。そこかしこから楽しげな声が聞こえ、笑顔があふれていた。
会場の一角、目立つ場所には干支をテーマにした雪像が鎮座している。今年は「巳」年。白く大きな大蛇の、くりっとした黒い目と首に巻かれた赤いマフラーが愛らしい。この雪像は、アイビーハイム町内会の住民で、大通の大雪像制作にも携わった経験を持つ元自衛隊員を中心に制作された。また、来場者に振る舞われた甘酒やお汁粉、ココアの味付けは、ホテルの元料理長が担当。さらに、イベントの裏方として計画表をエクセルで作成し共有する町内会長の三原さんなど、この町内会には様々な分野のエキスパートがおり、それぞれの得意分野を活かして協力し合い、イベントを支えている。
実は、毎年このイベントの中心となって盛り上げてきた前町内会長の山田信春さんが、昨年末に突然他界されたという。しかし、山田前会長の想いを受け継ぎ、住民たちは団結してこの伝統を守り抜こうとしている。その熱い情熱とおもてなしの心、そして一人一人の創意工夫や日々コツコツ積み重ねている努力が、とても心に染み渡るあたたかい会場だった。
文:杉山梨恵(もいわ塾3期生)
写真:杉山梨恵・吉村卓也
「第20回アイスキャンドル」間もなく開催!~川沿第3町内会の事前準備に密着~
2025/01/16 取材 林 里美
2025年1月25日(土)、26日(日) (キャンドル点灯17時、消灯19時)、 藻岩地区町内会連合会主催、第20回アイスキャンドルが開催される。
札幌市南区の川沿や中ノ沢など同地区内の12会場で、各町内会ごとに意匠を凝らしたアイスキャンドルと雪像や温かい軽食などを用意(※)し、ご来場の方々をおもてなしする。アイスキャンドルフォトコンテストも開催され作品を募集する。各会場に駐車場はないが、藻岩山のふもと、川沿・中の沢地区をカメラ片手にゆっくり歩いて会場巡りを楽しむいい機会だ。
(※) アイスキャンドル点灯のみの会場や、各町内会によってサービス提供内容は異なります。
今年も会場は川沿どんぐり公園(川沿6条3丁目・コープさっぽろソシア店の西側。近くに藻岩どんぐり公園もあるためご注意を。加えて点灯時間も18〜20時までと他の会場と異なる)にアイスキャンドルを点灯する川沿第三町内会会長の小村裕さん、有志のアイス作成チームの方々にアイスキャンドル作成の様子を伺った。
アイスキャンドル作りは天候に左右される。小村さんも天気予報を参考にアイスキャンドル作りの戦略を練る。作成場所は小村さん宅のお庭。アイスキャンドルは毎年300~400個ほどできるが、今年はプラス気温になる日も多く、思うようにいかない。当日までに200個は作れるように計画を立てるそうだ。日にちを追って工程を説明したい。
<1月10日・1度目の水張り>
始めに雪の降らない寒い日を選んでバケツに水を張る。1月10日に1度目の水張りをしたが暖かい日が続き、しばらく様子をみる。
<1月14日・氷確認と2度目の水張り>
1度目の水張りから4日間待ち、氷を取り出したのは、1月14日。100個ほどのバケツのうち、うまくできたのは半分くらい。残りの半分はバケツの胴回りにできる氷の壁部分が薄く、使えない。中にはバケツの底に5~10センチほどの円柱状の氷の塊ができている。気温が高いと氷の壁部分まで凍り付かない。残念ながら未完成の半分は雪の中に戻した。
これまで温かい日が続いていた一方で14日の天気予報は寒波到来!氷を取り出したばかりの、空いたバケツを平らに整えた雪の上に並べる。バケツの上側より5センチ下ほどまでホースで水を入れる。2度目の水張りだ。バケツは必ず雪の上に置く。日陰で風当たりの良いところに置くのがコツだ。あとは数10年作ってきた小村さんの勘で取り出す日を決める。寒い日に2晩ほどが最適だ。
<1月16日・氷の取りだし・雪埋め>
1月16日、早朝の気温はマイナス9℃。晴天。早く氷を取り出さないと中心部分まですべて凍ってしまう。キャンドルを置く空洞ができないのだ。急遽朝9時半から町内会の男女8人が集まる。いよいよ氷を取り出す。バケツをひっくり返して数個に金色のやかんに入った水をかける。そっとバケツを持ち上げると、凍らなかった真ん中にたまった水と氷が出てくる。取れないときはバケツの縁をのこぎりで撫で、再びひっくり返す。それでもだめな時は、氷の中に溜まった水をバケツに注ぎ、時間を置いてひっくり返す。するりと氷がすべり出る。できたての氷の中で気泡が太陽の光にキラキラ輝く。小村さんが「今日は最高のアイスだ!」と声を弾ませる。
16日にできた氷は90個。フェスティバル当日まで大切に保管する。のこぎりでキャンドルを入れ込む縁の部分を整形し、スーパーでもらうようなビニール袋に、空洞になっている方を下にして氷を入れる。袋に入った氷を日陰の2か所に分け、やはり空洞になっている方を下にして並べる。その上にスコップで雪を積み上げていく。10センチ以上雪をかぶせ、お披露目当日まで溶けないようにする。凍てつく中、少しずつ高くなった太陽の光が小村さんの庭と、汗しながら作業する一人一人を包むように照らしだす。
「雪に埋めてるところも写真を撮った方がいいんじゃないの?」とスコップを持った女性が声をかけてくれ、我に返ってシャッターを切る。氷の入った90個のビニール袋はあっという間に高さ70センチ、長さ2メートルほどの盛り土(盛り雪?)2つの中に保管される。毎年やっているからなのか作業が早い。氷取り出しから雪中保管、水張りまで所要時間は40分ほどだった。
<いよいよ開催まで>
1月20日にも集合し、氷作りと氷の出来確認を行っていた。形が悪いもの、口が狭くて入らないものはキャンドルの入り口をのこぎりで削る。開催日はできた氷を川沿どんぐり公園まで車で運ぶそうだ。徒歩5分ほどだがアイス200個を運ぶのに、3〜4往復する。
ロウソクの灯も見所だ。多くはペットボトルをカットし、底にキャンドルホルダーを設置する。ペットボトルにカラーをつけて色とりどりの灯で会場を華やかに盛り上げるところもある。また、木の台座にキャンドルホルダーをつけて氷越しに直接、灯を映す手法の会場も。川沿どんぐり公園(川沿第三町内会展示)は、ロウソク担当者がフェスティバルに向けて手作りする。キャンドルホルダーがいらないのだそうだ。川沿どんぐり公園でしか見られないキャンドルだ。取材の日は見ることができず、当日のお楽しみとのこと。
キャンドル以外も各会場、雪像を作るなど趣向を凝らしている。取材した川沿第三町内会は25日18時、子供たちがキャンドルに灯をともして開幕する。子供向けに手持ち花火も用意している。「寒い中、数百のアイスキャンドルを作る苦労は、キャンドルフェスティバルを楽しむ人たちを見ていると吹き飛んでしまう」と小村さん。開催の日に向けて、もう一度100個のバケツで氷を作る。
見に来てくれる人たちの笑顔を思って、各町内会で協力し作り上げた空間が1月25日から2日間、札幌南区の藻岩地区を優しいアイスキャンドルの灯で照らす。
第20回アイスキャンドル(藻岩地区)アイスキャンドル会場情報
開催期間:1/25(土)〜1/26(日)で地区内で12カ所で開催
①川沿第二町内会(川沿松の木公園川沿4条3丁目1)点灯時間17時~19時
②川沿第三町内会(川沿どんぐり公園川沿6条3丁目1)点灯時間:18時〜20時
③川沿第四町内会(川沿さふらん公園川沿7条3丁目3)点灯時間17時~19時
④川沿中央第二町内会(川沿ライラック公園川沿10条3丁目6)点灯時間17時~19時
➄川沿中央第5町内会(各自宅前)点灯時間17時~19時
⑥パレス藻南公園自治会(マンション敷地内)点灯時間17時~19時
➆中ノ沢町内会(ホクレンショップ中ノ沢店敷地内)点灯時間17時~19時
⑧アイビーハイム藻岩町内会(マンションの歩道沿い)点灯時間17時~19時
⑨白樺町内会(藻岩白樺会館川沿2条6丁目2−24)点灯時間17時~19時
⑩川沿少年消防クラブ(札幌市南消防署川沿出張所 川沿2条3丁目2−12)
点灯時間:15時30分点灯〜16時 ※16時に愛の鐘がなったら解散。保護者がいる場合は、時間延長ロウソクが消えるまで川沿消防署員で管理。
⑪もいわ地区センタ−(地区センタ−玄関前 川沿8条2丁目4−15)点灯時間:17時〜19時
⑫札幌市立藻岩小学校(藻岩小学校校門入口側旧道歩道)点灯時間:17時〜19時