エドウィン・ダンのカルタ、取り札の絵を描く

北丿沢第三町内会 谷内茂さん

 真駒内にあるエドウィンダン記念館に、手づくりのカルタがある。カルタの取り札の絵を描いたのは北丿沢第三町内会の谷内茂さんだ。

ダンのカルタ
谷内茂さん

エドウィンダンカルタの取り札の絵を担当した谷内茂さん。


 エドウィン・ダンとは、北海道開拓の時代、クラーク博士などと一緒に、酪農について教えたお雇い外国人だ。谷内さんがダンに興味を持ったのは、真駒内にあるエドウィンダン記念館を訪れたのがきっかけだ。仕事をしていたころは、転勤族で北海道各地を回った。退職して自由に動けるようになり、子供のころ定山渓鉄道に乗って何回も見ていた真駒内の歴史に興味を持った。記念館に何度も足を運ぶようになったのは、そんなことがきっかけだ。

 

 このカルタは「エドウィン・ダンの会」が作成した。この会は、同館を運営していた真駒内地区連合会が館の運営をやめる申し出があったとき、「地域の歴史を将来につなげたい」と、有志で2011年に発足した会だ。会長の谷代久恵さんがカルタコレクターだったため、子どもたちにダンのことを知ってもらおうと、ダンのカルタを作ることになった。

 

 計画はしたものの、なかなか時間が取れなかった。しかし、コロナ禍で会員に時間ができたこともあり、「あ」から「ん」までの46枚を一年かけて製作した。年代等、正確な内容を調べたり、文章を分かりやすくするための検討を会員で行い、読み札を作成してから、それに合わせて谷内さんが絵を描いた。

 谷内さんは子どもの頃からマンガが大好きで、見よう見まねで描いていた。その後、絵手紙の講師も始めたため、絵を描く事が更に楽しく日常の中にあった。カルタ作成時は「プロ」にお願いしたら?との意見も有ったが優しい絵柄とダンの事を良く知っている人に描いて貰いたいと依頼が来た。

 谷内さんは記念館にあるモノクロ写真や、絵画などを参考にしたが、「資料として明確な記述が無いものでも、自分が深く学習したダンの人柄を創造して書いた絵もあります」と谷口さん。

ダンのカルタ
ダンのカルタ

  たとえば「い」は、「『インカルシペ』に立ち、決めた牧牛場」が読み札。インカルシペはアイヌ語で今の藻岩山のことだ。取り札には山の上から緑の野原を見下ろしているダンとおぼしき人と、同行するアイヌの人の姿が描かれている。「ゆ」は「緩やかに流れる用水路、ダンを偲ぶ」と詠み、取り札の絵は今も残る石積みの用水路の絵だ。

 このカルタは、南区の小中学校に配布されていて、記念館にもある。いつかは、記念館でカルタをやってみたいと思っているが、まだ実現していないそうだ。

 

 谷内さんは、カルタづくりにとどまらず、文通クラブのアドバイザー、藻岩のきのこ観察会、ハーモニカ演奏、スクールゾーンの見守り、絵手紙、といろいろな活動をしている。

 「地域を知ることで、自分の地域に愛着を持つことができます。子どもたちにも学んで欲しい」と話してくれた。

 

(文・写真:相馬雫)2022.11.22