やきいも工藤

 

 川沿12条の石山通りを歩いていると、「甘〜い香りいっぱい 今日も幸せ気分」という看板が見えてくる。甘くて美味しそうな焼き芋の匂いも漂ってくる。「やきいも工藤」だ。

 

甘〜い 今日も幸せ気分 の貼り紙

 

 早速お店に入ると、工藤さん夫婦が迎えてくれた、美味しそうなやきいもの他にも入り口付近にはスゥイートポテトや大学芋、干し芋が置かれている。奥の壁には横一列に芋の品種が書かれた札が貼られていた。こんなにもサツマイモに種類があるとは驚いた。工藤さんのお話によると、1年以上様々な場所を探した結果、川沿の今の場所に辿り着き店を開いたそうだ。

 

焼きいもの種類が書かれたお品書き

 

 その後、全国の農家さんなどに電話をかけさつまいもを調べ上げ、その中から激選されたものが店頭に並んでいる。夏は「べにはるか」と「里むすめ」の2種類のみ販売しているが、秋の9月ごろになったら豊富な品揃えになってくる。寒くなってきた時にホクホクのやきいもが食べられるのは幸せ気分になる。時期もそうだが、同じ品種でも取れる場所によって味や肉質、甘味などが変わるという。中でも紅あずまは日本中のどこでも収穫できるが同じ品種だとは思えないくらい違ってくるそうだ。

 

 

焼きいも

 

 

 この取材は夏だったため「べにはるか」と「里むすめ」の2種類しか店頭になかったが、早速食べ比べてみた。「べにはるか」はトロッとしていてとても甘くお菓子を食べているみたいだった。一方「里むすめ」は、さっぱりしていて塩がとても合う。甘いのが苦手な人でも美味しく食べられる。私は皮が好きなのだがどちらもパリパリしていて最高だった。

 

やきも工藤 工藤さん夫妻

 

 そんなお店のこだわりは、地域の人ももちろんだが地域以外の人にも訪れてもらいリピートしてもらうことだ。来てもらい続けることで商売は成り立つ。テレビなどで紹介してもらうと来てくれるお客さんは増える。だが、もう一度買いに来てくれることは難しい。お客さんがもう一度来たいと感じてくれることを目標として自分達で模索しながらやっている。

 

 お客さん自身が食べたいと思えるもの、自分たちが食べて欲しいと思えるものを作り、お客さん自身がほかの誰かに食べてもらいたいと思ってもらえるような商品を作りたい、このようなこだわりを持たなければ、真剣勝負でできない、という。

 

 やきいもを買ったときのパッケージに「やきいも100年計画」と書かれている。それは、親から子供、子供から孫の三世代にわたって食べてもらう、つまり100年間食べてもらうことを意味している。例えば、親とあまり話せていない子供が、親の買ってきてくれた焼き芋で、話をするきっかけになるような商品を作りたい。これも一つのこだわりだ。

 自分好みの焼き芋を見つけたり、日々の家族への感謝を伝えたり……

 何度も訪れてみたくなるお店だ。

 

文・写真:林芽久(東海大学国際文化学部デザイン文化学科)
(2021/09/06)

 

 

札幌市南区川沿12条2丁目2-4

電話:011-572-2591

営業時間: 9:00~18:00

定休日:毎週火曜日

HP  https://www.yakiimo-kudou.com

 

※地図に店舗の名前が表示されない、また同じ名前で違う場所が表示される不具合が稀に発生しております。申し訳ありませんが、ご確認の上ご利用ください。