仙寿司

寿司

 藻岩地区町内会連合会エリア唯一の廻らないお寿司屋さん(2023年1月現在)が、川沿14条、石山通に面したところにある仙寿司だ。晴生会さっぽろ病院の斜め向かいくらい。

 店に入ると「いらっしゃい」と威勢のいい声が飛んでくる。店内はカウンター7席、小上がりにテーブルがふたつ。そして、カウンターに立つ大将の後ろの棚には鹿児島の酒蔵から取り寄せた仙寿司のラベルの付いた焼酎が並ぶ。

 

 仙寿司の大将 村上茂さん。18歳から、寿司職人として働き始める。手稲のお寿司屋さんで働いていた時、知り合いに店をやらないかと声をかけられ、もともとあった「仙寿司」というお寿司屋さんの後に店を始めた。昭和56年、茂さんが28歳の時だった。

 

仙寿司の村上さん
仙寿司の村上さん夫妻

「昔は、川沿や北ノ沢にも結構寿司屋があったんだよ。」と話す。

 開店からこれまでに、街の様子も変わっていった。昭和、平成、令和と42年もの間、店を続けることができたのは、「お客さん、常連さんのおかげ」と茂さん。その言葉に奥様の和子さんもうなずく。

 「自分で食べて美味しくないものは、出したくない」という茂さんの食材へのこだわりが常連さんが通い続けるいちばんの理由なのだろう。

 

 茂さんの言葉通り、ネタのひとつひとつがとても美味しい。この日感動したのが、ホッキ。

 道民なら食べ慣れているこのネタだが、絶妙な加減で湯通しされたホッキは、これまで食べた中で一番甘く柔らかく美味しいホッキだった。茂さんの目利きはもちろんだが、食材に対する仕事が丁寧で手間暇をかけていることが伝わるお寿司だった。

 

日本酒、仙寿司
仙寿司のたちかま

仙寿司店内
仙寿司外観

 

 手作りのタチカマもいただいた。

 ふわふわで温かくて塩味のきいたタチカマは ずっと食べていたいと思えるくらいの絶品。お酒が好きな方にはたまらないはずだ。手作りのたちかまは お二人で作っているそうだ。

 

 「1人では、絶対に作れない。すり鉢を抑えてもらわないと出来ないんだよ。」と、茂さん。

 茂さんはお寿司を握りながら、ハキハキと、それでいてとても優しい話し方で答えてくれる。接客をしながら、茂さんの話に相槌を打つ和子さん。

 「この場所で店を始めたのは、巡り合わせ。長年、店を続けて来れたのもいいお客さんと巡り会ってきたからだよ。」と茂さんは何度も「お客さんのおかげ」と話す。

 

 後日、30年来通っているという常連の女性にお話を聞くことが出来た。

 「お寿司とお酒が美味しいのよ。あ、大将も褒めなきゃだめかしら?」と笑って「人柄がいいのよ」と答えてくれた。タクシーに乗って、茂さんが握るお寿司を食べに来るそうだ。

 

 最近は、常連さんだけではなく観光客がインターネットで調べて来店することが増えてきた。

「若い子達は、スマホを使って迷うことなく地下鉄とバスを乗り継いで来てくれるの。すごい時代よね」と和子さん。東京や沖縄から来た方もいるそうだ。

 地元に愛されるお寿司屋さんは、観光客にも注目され始めている。

 

(文・写真:中川美香、大本恵子)もいわ塾1期生

仙寿司

札幌市南区川沿十四条2-1-8 tel. 011-571-2846

定休日:水曜日     営業時間:11時30分〜21時30分     駐車場:2〜3台

※ 最寄りのバス停は、じょうてつバスの川沿14条2丁目。

※地図に店舗の名前が表示されない、また同じ名前で違う場所が表示される不具合が稀に発生しております。申し訳ありませんが、ご確認の上ご利用ください。