リストランテ・サイロ

「Sala Restaurante サイロ」スペイン語で、家庭の居間のようなレストラン


 藻岩山有料道路に続く見晴らしの良い麓の道を登って行くと、ひと際目立つ小さなサイロのオブジェが目印になっている店がある。

 「Sala Restaurante サイロ」スペイン語で、家庭の居間のようなレストラン。という意味がある。1999年にオープンし、屋根が深々と帽子をかぶっているような、とても雰囲気のある建物だ。

 

 サイロの店主、田中則久さんは幼少期から食に触れる機会があった。田中さんの父が郷土料理の料理人だったからだ。父の店はすすきので人気があり、有名人もお忍びで通っていたという。父はメニューを作る閃きがあり、その頃はまだ無かったトウモロコシバターを考案し、イモとバターと合わせて人気メニューだったそうだ。トウモロコシは一粒一粒手で取り、秋に取れたイモは半年間ねかせる。熟成させた方がおいしいと、50年以上前から知っていたのだ。素材の味を大切にする拘りは、人気になるのも納得がいく。

 


 だが筆者は、サイロの拘りはこのビーフシチューの付け合わせだと思う。それは家で出来そうでもあるが、初めて食べる味や食感がある。ライスペーパーで肉や野菜を包んだ中華巻きは、新鮮でしゃきしゃきとして後を引く味である。

 かぼちゃと豆のポテトサラダも初めて食べた。丁寧に裏ごしされたかぼちゃが、離乳食のようにお腹に優しい。そして筆者一番のお気に入りは最初に出たジャガイモのスープ、ヴィシソワーズだ。
 とてもまろやかだが、ガツンと美味しさが口に広がる。イモがスープになれて喜んでいるようだ。最後のデザートは奥様の作ったシフォンケーキだった。シフォンケーキは数えきれないほど食べてきたが、この風味は、バニラエッセンスではない。甘い果物のような、初めての味だった。他にはない料理を食べてほしいという店主と奥様の一工夫は最後にも隠されていた。シフォンケーキの中に入っているものが何か、ぜひ当ててほしい。

CAFE SUVACO

 店主は2022年、畑でイモを作り始めた。秋には収穫できるか楽しみに育てている。ここのレストランには地下倉庫がり、そこでイモを熟成することが出来る。サイロは食糧庫という意味があるが、ここの建物自体がサイロなのだ。来年には丹精込めて育てたイモとユニークな新しいメニューが食べられるかもしれない。

(文・写真:今野純子)2022/08/12

 

 リストランテ・サイロ

札幌市南区北ノ沢6丁目15−1

月曜日〜土曜日(水曜日を除く)

11:30 ~ 15:00 (14:30L.O) 、17:00 ~ 21:00 (20:30L.O)

日曜日 11:30 ~ 20:00 (19:30L.O)

定休日:水曜日

▶  http://www.sairo.net/access.html

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