Kakitsubata Bakery カキツバタベーカリー

パンを買って、テラス席で食べられます

 川沿旧国道にあるセブンイレブン5条店の北となりの枝道を西方向に曲がると戸建て住宅が並ぶ住宅街が広がっている。道路は狭くないが、旧道の交通量からはほど遠い静けさだ。進行方向の右手の茶色い建物の上のほうに朱色の看板が見える。「Kakitsubata Bakery」だ。店の前には7台分の駐車スペースがあり、冬も安心の広さだ。昔、カキツバタがたくさん咲く池がこの地にあったことから店名になったとのことだ。

 石山軟石を敷き詰めた入り口を開けると3方にパンを置く棚があり、個包装されたパンが並んでいる。2010年にオープンしてから60〜70種類を店主の倉俊男さんが一人で作っている。「気軽に食べてもらうパン」をコンセプトに、買いやすい値段、ボリューム、調理パンの具の多さにこだわっているという。また、幅広い年代の方に食べてもらうよう、柔らかいパン、硬いパンとバリエーション豊かに揃えている。

 衛生面を考えて、焼き上がったパンを冷ましてから一つ一つ袋詰めをするので午前1時から作業を始める。ショーケースの中にパンを並べて、オーダーされたものを袋に入れる販売も考えたが、お客様を待たせることになるだろうと現在のスタイルに決めた。

 また、お客様の入店は一度に2組にしており、ゆったり買い物ができる。売り切れ次第閉店になるので早めの来店をおすすめする。

 

 カキツバタベーカリーといえば「あずきパン」と言われるほど人気で、山型のパンにふわふわの生地、ほんのり甘い小豆がたくさん入っている。丸ごとイチジクとクリームチーズの入ったパンはイチジクが丸ごと入っており、食べごたえ十分。ハーブウインナーカレーパン、ピザなどそのまま食事になるもの、練乳クリームフランスやバナナとカスタードパイなどのおやつパン。まだまだ書ききれないが、どれもこれも試してみたくなる。
 


 一番のおすすめは、購入したあと、店に隣接するテラスで食べることだ。テラスの一角には焼き物の大きなかめの中にビオトープがこしらえてあり、水草が揺れている。テーブル席がふたつ、屋根がある場所と、お日様が当たる所と少し離れた場所に設置してある。

 

 テーブルの上には草花が飾られ、隣接した庭には数々の植物が活き活きとしてしている。取材に伺ったときは「フォックステールリリー」の花が揺れていた。まるで遠出をして郊外にきたかのような風景が広がっている。妻の愛子さんが丹精込めて庭造りをしているので、花々の移り変わりを眺めながらパンと草花を楽しみに何度も行きたくなる。取材に伺ったときにはエントランスに七夕かざりがあり、願い事を短冊に書くことができていた。七夕には藻岩神社に持って行き、皆の思いを届けてくれるという。

 

 最後にこの地で生まれ育った藻岩っ子の愛子さんに藻岩地区についてどう思うか伺ったところ、「暮らしやすい街」「何よりお年寄りが優しい」と力をこめて話されていた。地域の人がさりげなく見守りをしてくれているのを目にしたそうだ。「Kakitsubata Bakery」は地元に寄り添ったパン屋さんだ。

 

(文・写真:大本恵子  もいわ塾1期生)

Kakitsubata  Bakery

カキツバタベーカリー

札幌市南区川沿4条3丁目4-15

011-573-7275

9:00〜17:00(完売次第終了)

定休日:月・火・水曜日(年末年始・他長期休みあり)

フェイスブック:@KakitubataBakery